キーボードの話(16)──SU120
2台目に組み立てた自作キーボードは、TALP KEYBOARDという通販ショップで見つけた「SU120」だ。
本来は基盤を設計することなく試作するためのものらしいが、特定用途専用のマクロパッドを作るにも向いている。いずれにしても手軽にアイデアを形にできることが最大の魅力だ。
→「自作キーボード基板SU120の紹介」(e3w2q.github.io)
ただし、TALP KEYBOARDでのSU120の販売はすでに終了している。設計図はGitHubで公開されているので、自分で発注できる。
なぜSU120を組み立てることにしたか
筆者にとって、自作キーボードの当面のゴールがErgoArrowsであることは変わりなく、SU120はそのためにも必要なものだった。ErgoArrowsはキースイッチを直接ハンダ付けするため、キースイッチを変えたくなっても変えられない(変えられるものを「ホットスワップ対応」と呼ぶ)。吸い取り線を使ってハンダを除去するか、別にもう1台組み立てるしかない。
(ErgoArrows Proはホットスワップ対応なので、組み立てた後からスイッチを交換できる。ただし、ErgoArrows Proは値段も高いし、当時は頒布が始まったばかりで入手自体が難しかった)
ということは、これぞというキースイッチを前もって選ばなくてはならない。しかし、自作キーボードはまだPrimer16しか作ったことがないし、Primer16もホットスワップ対応ではない。遊舎工房へ行ければ店頭で打ち比べして選ぶこともできるだろうが、そんな時間もなさそうだ。
そんなときにTALP KEYBOARDでSU120を見つけた。SU120はホットスワップ対応だ。しかもこちらのショップではスイッチを5個単位で注文できる。これがなかなか絶妙な数で、5個あれば打ち心地もよく分かるし(不慣れな筆者には1個では分からない)、ベストワンに選ばなかったスイッチはマクロパッドに転用すればよい。値段も割安だ。
Primer16でマクロパッドのよさは分かっていたので、ErgoArrowsとは別にいくつか作りたくもあった。SU120はこれにもよさそうだ。
つまり、ホットスワップ対応のSU120と、気になるスイッチをあれこれ買ってきて取っ替え引っ替えすれば、自宅でErgoArrowsのスイッチ選びができて、余った部品でマクロパッドも作れるという算段である。
組み立て
SU120自体の楽しさはあるが、まずは回路を理解し、スイッチテスターとして使うことを目標に設定。組み立て作業は必要最低限で済ませることにした。
難しそうに思えたのはスイッチソケットのハンダ付けだったが、予備ハンダを置くというテクニックを学んでいたため、これは難なく済ませられた。ソケットは当然熱くなるので、必ずピンセットで押さえること。
次の写真は組み立てがほぼ終わった状態の裏側だ。基盤自体の扱いはいかにサボっているかが分かる。
ハマったのはProMicroの扱いだ。基盤側のソケットをジグザグにすることでハンダ付けは不要ということだったが、これはうまくいかず、Twitterでいただいたアドバイスに従ってピンを曲げてみたがどうしても接触不良から逃れられなかった。結局これはハンダ付けしてしまうことで回避した。
その後、スイッチのクッションを付けた。効果は半信半疑だったが、騒音だけでなく、スイッチの浮きのような手触りも低減できた。
→「Durock スイッチ用クッションフォーム」(TALP KEYBOARD)
ロータリーエンコーダーを付けたのでファームウェアはQMKをいじる必要があるが、いまだにそこまで手を出せずにいる。しかし、スイッチのテスターとしては十分に活躍してくれている。