『仕事人生あんちょこ辞典』を紹介します
ライターの甲斐荘秀生さんより、編集を担当された新刊『仕事人生あんちょこ辞典 50歳の誤算で見えた「ブレイクスルーの裏技45」』(KKベストセラーズ)をご恵投いただきましたので紹介いたします。
甲斐荘さんとは、ぼくがTwitterで『キスの先までサクサク書ける! 乙女系ノベル創作講座』(KADOKAWA)を絶賛していたのを機に声をかけて頂いてからの縁で、大変尊敬しているライター・エディターの1人です。『創作講座』も甲斐荘さんが編集・構成された1冊です。
では『仕事人生あんちょこ辞典』について。著者である角田陽一郎・加藤昌治のお二人についてはまったく存じません。不勉強ですみません。
つかみどころのない本書には「お悩み解決アドバイス辞典」というキャッチフレーズがついていますが、辞典形式ではなく、45のお題をめぐって、テレビマンと広告マンが仕事人生を振り返ってあれこれ語るという対談エッセイというのが実のところでしょう。
対談のきっかけになったのは「私たちの人生には、もうちょっと多くの選択肢があるんじゃないか?」であると序文にあります。プロフィールを読んでもちっとも「テレビマン」「広告マン」に収まっていないお二人にそう言われるとなんともすみませんという気持ちになってしまいますが、そんなお二人の対談ともなれば、頭の回転の速さは文章から伝わってきますし、そういう話は横で聞いているだけでも楽しいものです。年齢もぼくと近いので、年代的なバックボーンが近いこともあるでしょう。
本書は745ページといういわゆる鈍器本ですので、通読はなかなか大変そうですが、やはり最初から読んでいくほうが楽しそうです。「あ」の項は「遊び」が選ばれているのに、途中から「アート」の話になったりします。流し読みしたくなりますが、「コミュニケーションの面積」のような名フレーズもさりげなく埋め込まれているので油断できません。対談には大胆な連想や飛躍があり、それは1人で書く原稿では滅多に起きない面白さです。個人的にはこういう本こそ電子書籍でつらつらとスマホで読みたいと思うのですが、いまのところ電子版はないようで、それだけが残念です。
お二人のファンならずとも、仕事をめぐるあれこれを見つめ直してみたい方にはいろいろな発見のある本ですので、書店で見かけたらどれか1つの項目を立ち読みしてみると面白いかもしれません。ご興味のある方は『仕事人生あんちょこ辞典』とメモしておいてください。
最後に。質量ともにこれだけの対談をするっと読めるように構成するとなると、その苦労たるや大抵のものではないことは容易に推測できます。最近の著名人による新書は、2時間×5回のインタビューを構成するのが一般的ですが、甲斐荘さんはそういったものも何点も手がけており、話題になったものもあります。オビにある「渾身の編纂」は掛値無しの口上と思います。
【9月7日追記】電子書籍版も出るそうです!
→ソース(公式 KKベストセラーズ販売促進担当@KKbest_hansoku Twitter)