キーボードの話(4) ──ターミナルでControlキー。同じキーボードを買い足した。

インターネットの商用利用が本格化したころ、その当時Directorがらみで知り合いだったフリーランスの多くはFutureSplash Animator、のちのMacromedia Flashへ行きました。もちろんぼくも買いましたが、これを今から勉強してあの人達に追いつくのは無理だと思い、UNIXのほうへ行くことにしました。まだ「SunOSとBSDこそ本流、Linuxは偽物」と罵られ、オープンソースソフトウェアが「日曜プログラマーの暇つぶし」と嘲られていた時代です。

以前の勤め先からMacintosh IIciをもらってMacBSDやMkLinuxを入れたりしていましたが、TurboLinuxが出てきたときに自作PCを音楽仲間に組んでもらい、Linuxを集中的に勉強し始めました。

その頃に秋葉原の「ぷらっとほーむ」という、UNIX方面に強い店を知りました。Sunを筆頭に、BSD系列だけでなく、怪しげなLinuxディストリビューションも所狭しと積んでいたショップです。その店頭で見つけたのがFKB8579というショップオリジナルのコンパクトキーボードです。

FKB8579。写真は2台目に買ったUSBモデルだがキー配列は同じ。

すでにHappy Hacking Keyboardは販売されていたのでコンパクトキーボードというジャンルがあることは知っていましたが、さすがにキーボード1つに数万円も出すのは抵抗がありました(当時は2万円台だったと思います)。FKB8579は1万円を切る価格でしたし、シェルで多用するControlキーはAの左にあり、小さいサイズで押し込められたキーが1つもなく、キータッチも堅すぎず大量のタイプにいい感じだったので、思い切ってLinux用にPS/2接続のモデルを購入し、以来長く愛用しました。

発売当時の記事がインプレスWatchでいまも読めます。Watchはこういう記事がちゃんと残されているのがいいですね。

「HHKキラーとなるか?Mac/UNIX/PC対応の新型コンパクトキーボード」(AKIBA PC Hotline)

のちにMac用にも、FKB8579のUSBモデルを買い足しました(正確に書くと、前述のHさんの業務用自作PCを数台組み立ててあげたときに、ギャラとして買ってもらいました)。当時のMacはCommand+Spaceキーで和英を切り替えるほうが一般的だったので、日本語を入力するにも英語配列で十分だったのです。かな/英数キーの存在よりも、ぼくにとってはControlキーの位置のほうが重要でした。Fnキーに抵抗がないのも、このキーボードのおかげです。

しかし気がついたときにはFKB8579は生産終了になっていました。評判は高かったと思いますが、おそらく再生産もなかったと思います。当時クラウドファンディングのようなものがあったら再生産されたのでしょうか。ぷらっとほーむのWebにはいまもカタログが残っています。

「PLAT’HOME FKB8579」(ぷらっとオンライン)

生産終了の無念のあまりHappy Hacking Keyboard Lite2 for Macを買いました。趣味の問題もあるとは思いますが、自腹で買っているのではっきり書きますと、ぼくとしては大失敗でした。キー配列こそたしかにHHK譲りですが、キータッチは当時の海外メーカーの安物やATARIにあったような強い反発でボヨンボヨンしたもので、日本語の原稿をばしばし書けるようなものではありませんでした。しかもガシャガシャとうるさいし、Mac専用のくせにドライバを入れる必要もあります。USB接続の予備として残していますが、買って数日で常用はあきらめました。

手元のFKB8579は、キーは日焼けし、付属のプラスチック製パームレストは割れてしまいましたが、USBモデルは日本語をほとんど打たないマシンで現役です。PS/2モデルは端子を曲げてしまったので、いまもどうにかしたいと思っています。PCって、いまだにPS/2端子があるんですよね。

今回の原稿はHappy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-Sで書きました。

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