キーボードの話(3) ──エーアイソフトとパイオニア。キーボードを選ぶことを知る。

大学の卒論は、その後に手に入れたNECの98ノートで書きました。ワープロはずっとP1.EXEです。すでに回りにはII siやII ciを買い込んだMacユーザーが少なからずいましたが、今回はキーボードの話なのでこの話は省略です。自分ではATARIを買い込んでDTMで遊んでいましたが、日本語はまったく関係ないのでこれも省略します。ちなみにATARI 1040 STEはキーボード一体型で、まるで低反発枕のようなタッチでした。

大学卒業後、いくつめかの職場の同僚からMacintosh SE/30を譲ってもらいました。これがぼくの初めてのMacです。社外品のビデオカードを追加してあったので、カラーモニタを外付けでつなげられました。

ついてきたキーボードは、当時最も一般的だったApple Keyboard IIだったと思います。これはおせじにもいいキーボードとはいえない代物でしたが、その頃は文章を大量に打つ機会がなかったので、とくに気にしなかったと思います。

その後、秋葉原でPowerMac 7100を買いました。これが最初に新品で買ったMacです。何が動機だったのか覚えていませんが、たぶんDTMです。ATARIで使っていたNotatorというDTMソフトがLogicと改称してMacに移植されたので、いよいよちゃんとMacを使おうと思ったのでしょう。

Macで日本語を書く機会が増えたときにエーアイソフトの日本語入力ソフト「WX」を買いました。これはもともとPC-98用から始まった製品だったのでControlキーを使ったショートカットがそのまま使えました。ひょっとすると、MacでControlキーを使ったショートカットが使えること自体が売り文句だったような気もします。

ライターとしての最初の数冊はWXとミミカキエディットで書いたと思います。いま書きながら気づきましたが、仕事の文章は最初からずっとMacで書いていたわけですね。結局MS-DOSでもWindowsでもお金になる文章を書いたことはないはずです。

原稿書きの仕事を始めた当時に使っていたキーボードが何だったか思い出せませんが、知人経由あるいは中古屋で手に入れたApple Keyboard Iだった思います。これは後継製品のIIとはまったく違うもので、それまでのPC-98シリーズや当時のWindows機に付いていたものとはまったく違うものでした。キータッチは堅く、小気味よく打てました。

キーボードを選ぶことに自覚的になったのは、このApple Keyboard Iだったと思います。それまでキーボードは、本体を買うと勝手に付いてくるものでしたが、好きなものを選んで自分で手配することを教わったわけです。「沼」の始まりとも言えます。

これにファンクションキーが付いたApple拡張キーボードというのもありましたが、寸法もタイプ音もやたらと大きかったので買ったことはありません。当時経堂在住で仕事でもお世話になったHさんがこれを愛用していて、轟音で日本語やMIDIシーケンサやターミナルをたたきまくっていた記憶があります。

Apple Keyboard Iはとても気に入っていましたが、ADBのMacをすべて処分したときに友達に譲ってしまいました。ただし、記念にSE/30だけは残したので、キーボードも1台だけ、パイオニア製のMPC-KB2をいまも残してあります。同社がMacの互換機を作っていたときにあわせて発売されたものですが、ぼくは結局互換機を買ったことはありません。このキーボードも、撤退が決まった後に投げ売りされていたものを買ったような気がします。これを手に入れてからは、こちらをメインで使っていました。

MPC-KB2のキータッチはApple Keyboard Iに近く、いまから思えば奇妙な位置にバッククォートがあるApple Keyboard I譲りの配列で、それにファンクションキーを加えつつコンパクトにまとめたいい製品でした。原稿書きはまだ仕事としてはメインではなく、QuarkXPressやMacromedia Directorの仕事でも使っていたと思います。

今回の文章はHappy Hacking Keyboard Professional Hybrid Type-S(日本語配列)で書きました。

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