キーボードの話(7) ──MacでRealforceを2台。思い切ってから12年たっていた。

当時のMacについてきたApple純正キーボードは、決してきらいではなかったのですが、何冊も原稿を書いてくるときしみが出てきてキーをスムーズに押せなくなりました。かな/英数キーのないFKB8579へ戻ることもできず、いよいよ観念していいキーボードを買おうと決心した──ような気がします。

Apple製のキーボードはすでに現在とほぼ同じ形になっていたので、真っ先に選択肢から外れました。力を使わずに長時間打てるのでいいという方は少なくないそうですが、ぼくはあれはダメなのです。そのときにトリニティワークスというソフトメーカーの「WinK for OSX」という、Windows用のキーボードをMacで使えるようにするシェアウェアを知ったので、Windows用の製品から探すことにしました。

目処がついたら実機の確認です。さすがに秋葉原までは行かなかったのですが、ビックカメラやヨドバシカメラなどのキーボード売り場でひたすら触りまくりました。気がついたら2時間くらい経っていたこともあります。買い換えるときのことも考えて、普通の店で手に入る製品を探したかったという理由もあります。

最終的に選んだのは東プレ「Realforce91U カスタマイズキーボード for ATOK」です。ジャストシステムの通販ショップで2008年8月に注文した記録が見つかりました。

「ジャストシステム、“ATOKキー”装備の東プレ製キーボード」(PC Watch)

ジャストシステムのロゴが付いていたり、一部のキーが一太郎レッドだったりしますが、一般に「91U」として販売されているものと同じだと思います。テンキーレスで、押下圧は主要部が45g、小指部が30g、その他が55gというちょっと変わったものでした。ジャストシステムのショップで注文したのはポイントが貯まっていたからでしょう。

以来、今日に至るまでメインのキーボードはずっとこれを使っています。経年劣化しないはずがないのですが、今もまったく不満はありません。キーボードに2万円出すには思い切りが必要でしたが、本当に買って良かったと思います。

ところが2014年にWinKの開発を終了するとアナウンスされました。慌てて代替アプリを探し、見つけたのがKarabinerです。インストールした当日にシェアウェア代金を送った記憶があります。

OSのバージョンが上がっていまはmacOS自体がWindows用のキーボードをサポートしてくれるようになりましたが、KarabinerがKarabiner-Elementsとして生き続けてくれたおかげで、「ひらがなカタカナ」キーを右Commandキーに、アプリケーションキーをLaunchpadに、右ControlキーをMission Controlに割り当てるなど、それ以上のカスタマイズができています。

それほど気に入っていたRealforce91ですが、執筆以外に編集の仕事が増えてくると不満が出てきました。第一にキーの重さ。執筆時にキーが重いのは心地よいのですが、自分で長文を書くわけではない編集の仕事では疲れてしまうのです。第二にテンキー。すでに揃っている他人の原稿を扱うときは連番を打つことも多いので、テンキーがあるほうが便利です。

そこでKarabinerへの乗り換えとほぼ同時にRealforce108U-Aを買い足しました。これは押下圧が30g均一と軽く、テンキーもついています。配列は至って普通のPC用キーボードですが、ディップスイッチで主要キーを入れ替えられます。キーの交換はサボっていますが、Karabiner-Elementsで91Uと同様に割り当てを変えています。これもやはり2万円くらいするので果たして本当に必要かどうか悩みましたが、結局買ってよかったと思います。

「REALFORCE 108U-A XE3100」(アーキサイト)

ならば押下圧が軽い108Uをメインにしてもよいような気がしますが、30gで自分の原稿を書こうとすると指がすべってしまうのです。単に重いキーに慣れてしまっているからなのでしょうが、執筆と編集でモードを切り替えるためにキーボードを交換するという儀式を挟むのは悪くありません。

以来、執筆中はRealforce91U、編集中はRealforce108Uの2台を交換して使い、キー割付はKarabiner-Elementsという環境が定着して現在に至ります。

PrintScreen、Scroll Lock、PauseキーはMacではF13〜F15キーになりますが、SpectacleRectangleといったウインドウ管理ユーティリティに割り当てています。どちらも、ウインドウサイズをモニタの右半分や左半分などに1度の操作で揃えるもので、大きなモニタを使うときはこういう操作の専用キーがあると非常に快適です。

最後に、当時ほかのキーボードを選ばなかった理由も書いておきます。あくまでも当時の話です。

Happy Hacking Keyboardを外した理由は、持ち歩く必要はないのでそこまでコンパクトに収める必要がなかったこと、PageUpやPageDownなどは単独のキーで欲しかったことなどです。ただし、Bluetooth接続でメカニカルのキーボードがほしくなったので、最近になって結局HYBRID Type-Sの日本語配列を買いました。英語配列のほうがよかったかもしれませんが。

Majestouchは、文章をドカドカ打つにはどの軸も音がうるさく感じました。いまは静音赤軸に興味があります。これもBluetooth接続で素直な配列の製品が見つかれば買うと思います。手元はあまり見ないのでデザインはたいしてこだわりませんがVARMILOも興味はあります。

以上で、唐突にこのシリーズは終わります。

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